犬がなかなかクレートに入ってくれません。
おやつを使って、犬にクレートは「安全でリラックスできる場所」だと教えましょう。災害時の備えにもなるので、ぜひチャレンジしてください。
災害時の備えにもクレートトレーニングを
平成28年の熊本地震や23年の東日本大震災では、ペットも避難を余儀なくされました。避難先となる車中やペットの受け入れが可能な避難所では、クレート(ケージ)の中で過ごすことになります。
クレートに入った経験がなかったり、苦手意識を持っていたりする犬は、クレートに入れるとほえ続けるなど周囲に迷惑をかけてしまい、飼い主が困ることになります。そこで万が一に備えて、日頃からクレートトレーニングをしておく必要があるのです。
クレートの大きさ
クレートの適切なサイズは、愛犬が立った状態で横に一回転できる広さです。横扉のあるものを選びましょう。
トレーニングのしかた
次にトレーニング方法ですが、コツは、ご褒美として与えるおやつを使い、「クレートは安全でリラックスできる場所」だと教えていくことです。無理やり押し込み、長時間閉じ込めるようなことは絶対にしてはいけません。
◇ ステップ1
クレートの扉を開けた状態で中にご褒美を置き、それを食べさせます。怖がって食べない場合には、グレードの高い(おいしい)おやつに変え、ご褒美の位置を手前にずらします。これを繰り返すと自らクレートに入るようになります。
◇ ステップ2
犬が中に入ったら扉を閉め、おやつをクレートの隙間から入れ、食べたら次を入れることを10回繰り返します。食べ終わったら扉を開けます。徐々にご褒美の数を増やし、与える間隔を空けていき、中にいる時間を長くしていきます。そうすればクレートが落ち着く場所になっているので、外出先でもストレスなく過ごすことができます。
日常生活やいざという時に愛犬の安心と安全を守るためにも、ぜひチャレンジしてください。
福島県会津若松市出身。 2001年にエスティー動物病院を開業。東日本大震災時には被災動物の救護活動に取り組む。その後はふくしま夜間救急動物病院の立ち上げや診療に従事し、地域獣医療発展に貢献すべく日夜奮闘しています。