猫の健康診断はどうして必要なの?
猫は人間の約4倍のスピードで年をとっています
猫の場合は、成猫になると1年に約4~5歳のスピードで年齢を重ね、中・高齢期を迎えていきます。いつまでも子どものように可愛らしく元気に見える愛猫も、年齢を重ねるにつれ外見からは見えない変化を迎えているのです。
人間同様、高齢化が進んでいます
獣医療技術の進歩やフードの質の向上により、平均寿命が延びています。しかし寿命だけが長くなっても、長い闘病生活を送らせることはよくありません。ご家族さまにもペットにも大きな負担がかかります。
猫は本能的に不調を隠そうとします
猫には元々けがや病気を周囲に気付かれないように隠す習性があります。ご家族さまが目に見えて不調が分かる時には症状が進んでしまっていることが多いです。健康寿命延伸のためには、定期的に健康診断を受診し、小さな変化を見逃さないこと大切です。
獣医師の声
開院した頃から、入院する子たちを見て、「もっと早く病気を見つけられていたら」「健康診断を受けてもらえていたら」と思うことが本当によくありました。Team HOPEの理念に賛同し、健康診断を実施していることで、通院いただいている動物たちの健康寿命は延びてきているように思います。
実際に関節炎、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病や腎結石等の多くの病気が見つかっています。無症状で猫の乳腺腫瘍を見つけた際はご家族さまにも大変喜んでいただきました。
寿命だけが長くなっても、長い闘病生活を送らせることは決して良いことではありません。症状が現れてから治療となると、ペットのからだへの負担も増えますし、手術や大変な治療は受けさせたくないというご家族さまもいるでしょう。病気が発症する前に発見し、病気の芽を摘む予防医療が我々の使命だと思っています。
当院で健康診断をスタートした際は、ご家族さまに予防医療の重要性が伝わるか不安でした。しかし始めてみると、「最近水をよく飲む気がする」「高いところに登りたがらない」など通常の診察時では聞けない不安や、ご家族さまだからこそ分かる微妙なしぐさの変化などもうかがえています。健康診断は、ご家族さまと一緒に病気の芽を摘むことができるコミュニケーションツールであることに気が付きました。
健康に見えても、健康診断で病気が見つかるケースもたくさんあります。たとえば、症状が出にくく発見が遅れがちな脾臓の悪性腫瘍が早期に見つかり、手術して命が助かったというようなケースを多く経験してきました。
お子さんが健康でご家族さまとの時間が楽しくあり続けられるよう、健康診断は欠かせないツールといえるでしょう。
0歳から年に1回の健康診断を
ご家族さまから「子猫の健康診断は必要ですか?」「初めての健康診断は、いつ受ければいいの?」という質問をよく受けます。先天的な病気を見つけるためにも、猫が0歳のうちに健康診断を受けていただくことをお勧めします。実際に0歳~3歳の子猫に血液検査を実施したところ、4.1%の猫に異常値が検出されました(2017-2018年Team HOPE調べ)。
元気なうちから全身の健康なデータを蓄積しましょう
異常が見つからなかった場合でも、健康な時のデータを蓄積することは大切です。集めたデータに変化が出てきたら、いち早く精密検査を行い病気の早期発見につなげたり、食生活や生活環境の見直しを始めるなど疾病予防に役立ちます。
7歳以上の猫には年に2回の健康診断を推奨
半年に1回の健康診断と言うと、多いと感じるご家族さまもいらっしゃるかもしれません。しかし私たち人間は毎年健康診断を受け、前回の数値と比較をしながら変化を見つけます。ペットも同様に、中・高齢期を迎えていく上で、定期的に総合的な健康状態を知り、記録することが大切です。
猫は人間の約4倍のスピードで年をとります。猫の7歳は人間でいえば、50歳近い年齢です。急速に進む加齢によって起こる外見からはわかりにくい変化を見つけるためには、半年に1回受診いただくことをお勧めしています。
個体ごとに異なるペット自身の健康な時の数値や状態を定期的な健康診断で確認することで、大切な家族である猫の病気の早期発見・早期治療を実現していきます。
動物病院へ連れて行くのが難しい場合は尿検査から
猫は犬に比べ、ケージに入るのを怖がったり、動物病院へ行くのを嫌がるケースが多いです。0歳のうちから動物病院へ足を運ぶことで、少しずつ慣れることができます。動物病院によっては、猫専用の待合室を設けている所もあります。犬とは別の待合室であれば犬の鳴き声で驚く心配はありません。待合室が分かれていない場合は、待機中バスタオル等で覆うと猫は安心ができます。
どうしても動物病院へ連れて行くのが難しい場合は、採尿いただき、尿だけを病院へお持ちください。猫は尿から見つけられる病気はたくさんあります。たとえば腎臓疾患や尿路結石、膀胱炎等、元気でも症状が進行している場合があります。まずは尿検査だけでも行ってください。
猫を動物病院へ連れて行く工夫
- キャリーはプラスチックがお勧め。麻や布などでできたキャリーは猫が爪をひっかけてしまい、さらに嫌がってしまいます。
- 猫がキャリーに入りたがらない場合、キャリーの中で食事をあげる等して慣れさせましょう。
- 猫を洗濯ネットに入れる方法もあります。100円ショップなどで粗めのネットを購入してください。ネットに入ったまま診察することができます。
- 移動中の車の中ではバスタオルや毛布をかけてあげましょう。
猫の健康診断の流れ
猫のご家族と主治医の声
Team HOPE 健康診断とは?
猫のTeam HOPE健康診断を受診された方の声はこちら
猫の健康診断に関するよくある質問
健康診断の時に、猫を動物病院に預ける必要はあるの?
病院によって対応は異なりますが、平均的にTeam HOPE健康診断は1~2時間程度で終了します。
オプションで超音波検査など詳細な検査を追加される場合は一時お預かりする場合もあります。
詳細は受診される動物病院へご確認ください。
猫の尿はどうやって採ったらいいの?
病院の指示に従い採尿してください。どうしてもご自宅で尿が採れない場合は病院でお預かりし採尿する方法もあります。
健診予約時にご相談ください。
(例1)猫が排尿姿勢をとったらお玉でキャッチし、醤油さしの容器やスポイト等で採る。
(例2)2段式のシステムトイレで採る。上の段のチップや猫砂はそのままに、下の段のペットシーツを抜いておく。下の段に尿が溜まるため、醤油さしの容器やスポイト等で採る。
当日の尿を保冷剤と一緒にお持ちいただき、新鮮な状態で提出する。
猫の便はどうやって採ったらいいの?
病院の指示に従い採便してください。
(例)排便する姿勢をとったら、ツルツルなチラシ等で便をキャッチする。親指の頭くらいの量を採り、ビニール袋やプラスチック容器に入れて持参する。
動物病院では猫の様子が普段と変わってしまうのですがどうすればいい?
「家では足が痛そうだったのに、病院で歩かせたら普通に歩く」「できものがありそうと思ったら、病院では緊張してお腹を診させてくれない」ということがよくあります。気になることがあれば、猫の様子をスマートフォンで動画や写真に撮影し、残しておきましょう。
子猫とシニア猫では健康診断の検査項目は違うの?
Team HOPEでは0歳から年に1回、血液検査・尿検査・レントゲン検査の受診を推奨しています。
シニア猫(7歳以上)は年に2回の受診をお勧めしています。
異常があった際には超音波検査やMRI検査など、かかりつけ医と相談して詳細な検査を行ってください。
Team HOPE健康診断は、ふつうの健康診断と違うの?
検査の内容は共通していますが、設定している検査項目が異なる場合があります。動物病院によってさまざまな健康診断のコースを用意されている場合があるため、どの検査を受けるか確認してから予約してください。
Team HOPE健康診断の費用はどのくらい?
病院によって異なります。1万円~3万円程度を目安としていただき、直接動物病院へお問い合わせください。