ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(77)
ノミやマダニ予防して春迎える
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第77回目が掲載されました。
Team HOPE中部地区、青山動物病院 吉田美緒 がお伝えします。
暖かい日が増え、過ごしやすくなりつつありますね。寒い冬と比べると、愛犬と一緒に外に出る機会も増えるのではないでしょうか。暖かさに誘われ、家の窓際で日なたぼっこをする飼い猫の姿もよく見かけるかもしれません。
春はしかし、ペットたちに寄生してさまざまな悪影響を及ぼすノミやマダニも活動を活発化させる時期でもあるので、注意が必要です。
犬や猫がノミやマダニに寄生されると、激しいかゆみや湿疹、脱毛など皮膚のトラブルが起こります。多量の血を吸われることで貧血になることもあります。ときには別の病気を誘発し、重症化してペットの命に関わることもあるのです。
飼い主にも危害を及ぼします。ペットに寄生したノミに刺されれば、皮膚炎を伴う「ノミ刺咬(しこう)症」になってしまいます。感染した猫に引っかかれたりかまれたりすると、リンパ節が腫れて発熱や頭痛を起こす「猫ひっかき病」になる恐れがあります。平成28年、猫にかまれた50代の女性が、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症して亡くなった事例は記憶に新しいかと思います。
こうしたことからも、予防がいかに大切か理解いただけるのではないでしょうか。犬や猫を完全に室内で飼育していても、ノミやマダニは、人の衣類に付いて家庭内に持ち込まれることもあるので注意が必要です。
ノミやダニは薬品によって駆除することができます。獣医師に相談し、正しい予防の仕方を知ってもらいたいと思います。
きちんと予防すれば、人もペットも安全で健康に過ごすことができ、この春の生活もますます楽しくなってくるはずです。
(産経新聞 平成30年3月23日付)