ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(61)
高齢期の猫に多い病気

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第61回目が掲載されました。  
Team HOPE東北地区、あきたこまつ動物病院院長 小松亮 がお伝えします。   

  今回は、高齢期の猫によく見られる病気を説明します。猫も高齢になると病気になりやすくなります。
 1つ目は、腎臓の病気(慢性腎不全)です。猫の場合、中高齢になると徐々に腎臓の機能が低下してしまう慢性腎不全が多くなります。尿毒症の影響で少しずつ食欲が落ちたり、嘔吐(おうと)が多くなったりします。さらに悪化すると重度の尿毒症となり、命にも関わってくることがあります。早期発見すれば、投薬や食事療法で進行を遅らせることができる可能性もあります。

 2つ目に内分泌(ホルモン)の病気(糖尿病、甲状腺機能亢進(こうしん)症など)です。猫も犬と同じように、糖尿病にかかりやすくなります。特に猫は、大人になると運動量が減ることが多く、犬と同じように散歩をするのも難しいため、肥満のリスクを抱えないよう家の中での体重管理がとても大切になります。

 甲状腺機能亢進症は気管の脇の甲状腺からのホルモン分泌が過剰となってしまう病気です。猫の場合の症状は、食べる量が多い割にやせていく▷呼吸が速い▷興奮しやすく発情期のようによく鳴く―などです。また心臓病を併発してしまうこともあります。一方、犬は猫とは逆にホルモン分泌量が不足する、甲状腺機能低下症になりやすいといわれています。

 3つ目に腫瘍の病気です。猫にも、いろいろな腫瘍の病気があります。中でも乳腺腫瘍は統計上ほとんどが悪性で、小さなしこりであっても早めに受診した方が良いでしょう。また予防法としては、初回の発情前に不妊手術を受けると、その後の乳腺腫瘍の発生率を下げられることが分かっています。

 猫の病気も犬と同様に早期発見が大切です。定期的な健康診断を心掛けてください。

  (産経新聞 平成29年11月24日付)