ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(58)
冬に備えて健康管理
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第58回目が掲載されました。
Team HOPE東北地区、あきたこまつ動物病院院長 小松亮 がお伝えします。
だんだん寒くなってきましたね。今回は冬に備えての注意点をお話しします。寒くなると人も体調を崩しやすくなります。外出がおっくうになったり運動が減ったり、水を飲む量が減って、乾燥や気温の変動で風邪をひくこともあります。ペットも同じです。暖かく環境が良い季節には症状が出ていなくても、冬になって初めて、症状が出てくることもよくあります。
一般的に、泌尿器や呼吸器、関節や運動器の病気が冬に多くなるといわれています。まず、泌尿器の病気から説明します。飲水量が減ると尿量が減るため、尿石症やぼうこう炎を起こし、血尿や頻尿になりやすいです。そのためお水をよく飲ませるように心がけてください。あまり飲まない場合は、味付けしていない肉の煮汁などを混ぜてもよいかもしれません。
次は呼吸器の病気です。冷たい外気や暖房で乾燥した空気によって、喉の粘膜が弱くなり、風邪をひいて人と同様にくしゃみやせきをしやすくなります。定期的な換気や加湿を心がけてください。
関節や運動器の病気が多くなるのは、寒いと体の血行も悪くなるからです。飼い主さんが、休日などにいつもと異なる急な激しい運動や長い散歩をしたりすると、関節や靱帯を痛めやすくなります。われわれ同様、徐々に体を温めてから運動させてください。
ペットはちょっとした体調の変化を言葉で伝えることができません。ある日突然、元気がなかったり、食欲がなくなったと気付くことも多いのです。ちょっとした体調の変化に気付くために、人以上に定期的な健康診断が大切です。中高齢のペットは年に2回の健康診断が推奨されます。ぜひ大切なご家族のために早期発見、早期治療を心がけてくださいね。
(産経新聞 平成29年11月3日付)