ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(73)
快適な睡眠がとれる環境を

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第73回目が掲載されました。  
Team HOPE関西地区、エルザ動物医療センターセンター長 長谷隆司 がお伝えします。  

 近年、家族や友人たちと同じように、犬や猫を大切に扱う飼い主さんが増えています。その一方で、共働きや1人暮らしのため、日中はずっとペット1頭でお留守番というケースも少なくないように思います。

 そうした犬の中には日中のほとんどを睡眠に充ててしまい、子犬のときのしつけや社会化という重要なタイミングを逃してしまうケースもあります。

 また、高齢の犬の飼い主さんからは、夜鳴きに拍車がかかっていると相談を受けることも多いです。その際には、留守番中に少しでも暇をつぶせるような玩具の紹介や、しつけ面でのトレーニング方法、高齢犬の日中の自宅内での居場所について、アドバイスなどをお伝えしています。

 逆に、かゆさなどが原因で犬の不眠についての相談も少なくありません。犬だけではなく、搔(か)く音や振動で飼い主さんも眠れなくなってしまうケースも多いのです。この場合には飲み薬で症状の軽減、治療ができます。

 しかし中には、本来は外用薬治療としてシャンプーが必要な状態だと説明しても、飼い主さんから「仕事の都合で不可能だ」といわれてしまうこともあります。現代社会で生活スタイルを変えることは難しいかもしれませんが、家族の一員である犬や猫たちとのコミュニケーションの時間もしっかり取ってほしいと思います。

 フードや医療、予防薬などが進化したおかげで、昔と比べ犬や猫の寿命が延び、ペットたちと一緒に過ごせる時間が増えました。増えた分、飼い主さんも楽しく過ごしてほしいと思います。そのためにも、犬や猫が快適に睡眠がとれる環境を整えてくださいね。

 (産経新聞 平成30年2月23日付)