ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(9)
食事の時間の大切さ

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第9回目が掲載されました。
Team HOPE関東地区委員長、王禅寺ペットクリニック代表 川瀬英嗣がお伝えします。

 ペットにとって食事ほど楽しみな時間はありません。おいしそうに食べる姿は、見ているだけでうれしくなりますよね。楽しい食事の時間は、しつけの大きなチャンスでもあります。
 食器を持った飼い主の手に飛びつかんばかりの子犬には、まずお座りをさせて待つことを教えてみましょう。また、「よし!」と言うまでは食べないように教えてみましょう。
 ここで重要なのは、子犬が自然にお座りをするまで待つことです。食事を催促されるままに与えることは避けてください。食べ盛りの子犬には少々厳しく感じますが、根気よく毎日やっていると、食事のときに自然と自分から座って待つようになります。
 飼い主の言うことを聞けば最高のごほうび(=食事)がもらえる、ということが分かれば、「おすわり」や「待て」といった基本的なしつけをするときだけではなく、他のしつけの際にも応用ができます。
 また、食事は犬種や年齢、体質に合ったフード選びが重要です。袋に記載されている1日の必要量を、2回(幼少期には3~4回)に分けて与えます。手作り食を与えたいという方も多いですが、カロリーや栄養バランスの計算は結構複雑で大変です。
 市販のフードに慣れておくと、知人などに預けたり、病院に入院したりといった場合に役立ちます。フードの種類や与える量などを伝えるだけで、ペットはいつもと同じ食事を取ることができるからです。
 食事は健康のバロメーター。毎日の食事の量や時間、口臭などにも気を配ってください。ちょっとした変化は飼い主にしか分かりません。気になることは、早めに獣医師に相談してくださいね。

(産経新聞 平成28年10月28日付)