ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(89)
迷子にならないために
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第89回目が掲載されました。
Team HOPE東北地区委員、エスティー動物病院院長 佐藤龍也 がお伝えします。
18日に大阪を最大震度6弱の地震が襲いました。平成23年の東日本大震災や28年の熊本地震など災害時には、多くのペットが飼い主さんの元を離れ迷子になりました。
日常でも、犬が家から飛び出したり、散歩中に不意にリードを放してしまったりして、迷子になってしまうケースは少なくありません。
そんなとき、とっさに呼び戻す、いわゆる「おいで」ができれば、愛犬と離ればなれにならずに済みます。万が一の場合に備え、日頃から呼び戻しのトレーニングをしておく必要があります。
実際のトレーニングでは、小さく切ったおやつをいくつか用意します。その1つを手の中に握り、犬の鼻先に近づけて匂いを嗅がせます。そして、「おいで」と言った後にそのまま飼い主さんが後ろに少し下がってみましょう。そのとき、少しでもついてきてくれたら「おりこうだね」とほめ、首輪(またはハーネス)を軽くつかみながらおやつを与えてください。
この距離を少しずつ延ばしていき、ついて来るようになってきたら、今度は少し離れたところから再び「おいで」と呼び、できたら同じようにほめておやつを与えましょう。このように段階を踏み、短い距離から徐々に距離を延ばすようにします。毎日少しの時間でもよいので、繰り返し根気強く行うことが大切です。
慣れてきたら、飼い主さん以外の人にも捕まえられるようにするために、同様のトレーニングをしてもらうとよいでしょう。
それでも万が一、迷子になってしまったときのために、鑑札や迷子札を首輪につけることが効果的。動物病院で、身元情報が入力されたマイクロチップを装着してもらうこともおすすめします。
(産経新聞 平成30年6月22日付)