ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(87)
留守にするときには
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第87回目が掲載されました。
Team HOPE北海道地区委員、どうぶつ園通りの動物病院院長 石原創 がお伝えします。
1人暮らしの飼い主さんの場合、自宅にペットだけを残すこともあるかと思います。まず気をつけなければいけないのは室温の管理です。飼い主の不在時にも、それぞれの動物に適した温度を維持できるよう、エアコンを活用してください。また誤食も問題になることが多いです。毒物摂取や腸閉塞で時間がたつと、命を落としてしまうこともあるので、ペットが摂取してはいけないものは何か、知識を身につけましょう。
犬と暮らす場合、床やジャンプして届きそうな場所に、いたずらしそうな物を置くことはできません。ごみ箱は届かない高い場所に置くか、蓋を開けられないようにロックがかかるものを選びます。
猫は上下の運動が得意なので特に排水溝回りの生ごみは片付けておかなければなりません。糸やひもも、誤って食べてしまったりしては危険なのであらかじめ整理しておきましょう。
留守中の無駄ぼえによるトラブルもよくあります。愛着の対象者が自分から離れ去ったと感じたときに不安感を示す「分離不安」という状態に陥っている恐れがあります。
犬は飼い主との結びつきが強い動物です。特に1人暮らしの場合は、犬にとって相手は飼い主しかいません。帰宅時の喜びは大きいかもしれませんが、その分、不在時の悲しみや苦痛も大きくなります。
この場合は幼少期や飼い始めのしつけトレーニングが大切です。行き帰りの挨拶はほどほどに。特に帰ってきたときはそっけないくらいの態度で接してください。留守番用のおもちゃも効果的です。散歩など運動をさせストレスを発散させてあげてください。それでも無駄ぼえが収まらなければ、ドッグトレーナーや獣医師に相談してください。
(産経新聞 平成30年6月8日付)