ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(83)
トイプードルに多い病気を知る
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第83回目が掲載されました。
Team HOPE九州地区委員、たか動物病院院長 高橋隆之 がお伝えします。
ふわふわした毛が特徴のトイプードルはいま最も人気のある犬種の一つで、街中で目にする機会も多いかと思います。プードルには大きさがスタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイの4つのタイプがあり、最も小さいのがトイプードルです。
この犬種にはいろいろな毛色があり、独特のカールの被毛に覆われています。トリミングで、他の犬種ではできないカットを楽しむことができます。性格は温厚で頭がよく、社交的。しつけがしやすい犬です。運動能力も高く、好奇心旺盛。体の割に手足が細いため、高所からの飛び降りなどで、骨折することも少なくありません。
また、膝蓋骨脱臼という膝にあるお皿の骨がずれたり、外れたりする病気もよく見られます。1歳未満の子犬では、レッグペルテスという股関節の骨が変形してしまう病気もあります。これは遺伝的要因があるといわれています。いずれも症状は後ろ足を引きずったり、上げたりします。また、耳が垂れている犬種によく見られる外耳炎も比較的多いです。膿皮(のうひ)症やアレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患もよく見られます。
目の病気では、若い年齢で発症する若年性白内障や進行性網膜萎縮症(PRA)といって目の網膜に異常が生じ、徐々に萎縮が進行し失明してしまう遺伝性の眼疾患もあります。内分泌の病気では、多くは7歳以上の老犬に見られるクッシング症候群という副腎皮質ホルモンが異常に分泌されることで起こる病気もよく見られるものの一つです。
病気は早期発見が一番大事です。事前にトイプードルがかかりやすい病気を知っておくことで、早めに対処することができます。日頃から動物病院で定期的に健康診断を受けてもらいたいと思います。
(産経新聞 平成30年5月11日付)