ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(80)
チワワに特徴的な病気
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第80回目が掲載されました。
Team HOPE九州地区委員長、動物総合病院ユニベッツ福岡院長 青木芳秀 がお伝えします。
今回は小型犬のチワワに特徴的な病気についてお伝えしたいと思います。そのルーツには諸説ありますが、メキシコ周辺で9世紀頃に飼われていた「テチチ」が祖先といわれています。チワワよりも体格は大きく、神聖視されてもいました。その後、19世紀に北米で改良され小型化したのがチワワで、世界最小の犬といわれています。
性格は好奇心や警戒心が強い半面、飼い主への愛着はとても強く、甘えん坊です。行動は活発ですが、トイプードルのように激しくジャンプをすることはありません。寒さに弱いものの日本の夏ぐらいの温度は平気で、暑い時期に毛布にくるまって寝られるのはチワワだけでしょう。
生まれつき頭の泉門が開口しているケースもしばしば見られるため、頭部に強い圧力を加えることは要注意。後肢の膝関節脱臼や頸椎(けいつい)、胸椎の椎間板疾患も比較的多いです。
急発進、急停止、急回転を好む犬はフローリングのような滑りやすい床では膝関節が悪化する恐れがあるので、床面を滑りにくい素材にすべきです。雄は特に活発な犬が多く、去勢していなければ、高齢になってもマーキングやマウンティングするケースがよく見られます。
10歳を過ぎてくると心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)が増えてきます。早い犬では8歳ぐらいから、せきや散歩時間が短くなる(運動不耐性)など心臓病の初期症状が見られ始めます。この頃から、毎年の心臓検診を含む健康診断がとても重要になってきます。
心臓や他の臓器に異常が見つかっても適切に対応すれば16、17歳まで生きることは可能です。高齢になると腫瘍も見られるようになりますが、他の犬種に比べれば少ない方だと思います。一番小さい犬ですが、長生きしてくれる甘え上手な犬ですね。
(産経新聞 平成30年4月13日付)