ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(74)
眠りすぎる時は要注意
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第74回目が掲載されました。
Team HOPE関西地区、エルザ動物医療センターセンター長 長谷隆司 がお伝えします。
皆さんが一緒に暮らしているワンちゃんたちは、1日どのくらい眠っているでしょうか? 一般的に成犬の1日当たりの平均睡眠時間は、10~12時間。子犬や老齢犬については、さらに長い時間を睡眠に費やしています。いつもより眠りすぎていると感じるときは注意が必要です。
老齢犬の場合は人間と同じように、耳が遠くなったり、目が見えにくくなったりして物事に対する反応が鈍くなっています。また、関節の痛みや筋力の衰えで動くこともおっくうになりがちです。睡眠時間が長くなることは自然ですが、餌の食べ方、立ち方や歩き方、飼い主への反応などを観察し、ひどい疲れや痛みを感じていないか、認知症のような症状が隠れていないかを見極めることが大切です。不安を感じたときは動物病院に相談しましょう。
一方、若い犬がいつも以上に眠りすぎているようなら、体の不調を我慢し、じっと動かずに眠って治そうとしているのかもしれません。足腰の神経の異常や意識障害などにより、動こうと思っても動けない場合もあるでしょう。無理に起こしたりすると、嫌って怒る、悲鳴をあげるなどいつもと明らかに違う様子のときには、動物病院で診察、治療が必要です。
体調不良とは別に、飼い主の生活リズムの変化などを敏感に感じ取り「ふて寝」をしているように見えることもあります。精神的要因と体調不良との見極めは難しいですが、愛犬の様子が「いつもと違う」と気づいてあげることが大切なのだと思います。
とはいえ、やはり睡眠は大切です。皆さんの大切な家族であるワンちゃんたちが良い睡眠をとれるよう、年齢や持病に合わせた環境づくりを心がけてあげましょう。
(産経新聞 平成30年3月2日付)