ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(71)
犬が言うことを聞かない

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第71回目が掲載されました。  
Team HOPE沖縄地区、おもろ動物クリニック院長 金城秀敏 がお伝えします。  

 「この子、全く言うことを聞かないんです!」。先日、ジャックラッセルテリアの飼い主が困った様子で相談してきました。この犬種に限ったことではありませんが、飼い主の言うことを聞かない犬はまず落ち着きがありません。それは、飼い主に注目していないということです。

 ですから、まずは落ち着かせてアイコンタクトすることが大切です。その際、おやつを使うと効果的です。最初に「待て」と言いながら、おやつに注目させます。次に、おやつを犬の頭の上方へ移動させると、犬のお尻が下がりますね。そのタイミングで「お座り」と言います。上手にできたら、褒めながらおやつを与えてください。

 これを繰り返すことで、「待て」と「お座り」を身につけさせられます。すると、飼い主と犬の「主従関係」ができてきます。犬が飼い主の言葉に注目するようになり、訓練もしやすくなるのです。主従関係を普段の生活で築いていくには、食事や散歩の際に教えるといいでしょう。

 犬の社会では、上位の者から食事をします。愛犬がかわいいからと、飼い主よりも先に食事を与えてしまうと、飼い主を召し使いだと勘違いさせてしまうのです。ですから、皆さんが食事をした後に与えてください。その際、「お座り」「待て」「良し」とはっきりと命令した後に与えましょう。

 散歩の仕方も大事です。犬たちはリーダーが先頭に立つと思っています。リードを短く持って、自分の先頭を歩かせず、横に並んで散歩しましょう。飼い主が頼りないと、犬は自分が優位に立とうとしてわがままになり、扱いにくくなります。飼い主は犬にとって頼もしいリーダーとなり、愛犬との楽しい毎日を過ごしてほしいと思います。

 (産経新聞 平成30年2月9日付)