ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(53)
食生活を考える
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第53回目が掲載されました。
Team HOPE中四国地区、前田動物病院 院長 前田史彦 がお伝えします。
ペットは家族の一員として、毎日私たちの生活や心を豊かにしてくれています。そんなペットの健康を維持し、病気を予防することは私たち人間の役割です。人間と同様、健康の維持・病気の予防のためには何を食べるかが、とても重要です。
動物の健康のために必要な栄養素は数多くあり、それらを手作りでバランスよく与えるのはとても難しいことです。そのためにペットフードがあります。総合栄養食といわれるフードは、それだけで必要な栄養素がバランスよく満たされ、生きていく上でその他のものを与える必要はありません。
選ぶ際に気を付けるのは、まずは年齢です。成長期、成犬期、シニア期によって必要な栄養素、増やしたい栄養素、控えたい栄養素がありますので、年齢にあったフードを選びましょう。
次に、体質です。肥満気味▷おなかを壊しやすい▷皮膚が弱い―などの体質に合わせて、食物繊維が多かったり、消化に良いタンパク質が入っていたりといったフードを選ぶと良いでしょう。
体質に合ったフードを食べていると便の量が少なく、合わない場合は便の量が多くなる傾向があります。また同じようなフードでも若干の違いが出ます。体質に合うフードが見つからない時はかかりつけ獣医師に相談しましょう。
最後に病気です。老齢になると動物にもさまざまな病気が出てきます。多い疾患は腎臓病、心臓病、関節疾患などです。病態に合わせた食生活を送ることが、病気の進行抑制や生活の質(QOL)の維持にとても有効です。必ず獣医師の指示のもとでフードを選び、継続するか切り替えるかについても、定期的な診察を受けた上で、しっかり相談しましょう。
(産経新聞 平成29年9月29日付)