ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(50)
トイレの状態をチェック 

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第50回目が掲載されました。
Team HOPE中四国地区、かみがいち動物病院 院長 上垣内俊輔 がお伝えします。

  便や尿を毎日のことと思って簡単に片付けてはいませんか? 実はこの便や尿で病気を早期発見できるかもしれません。今回は愛犬愛猫の排泄(はいせつ)物から分かることについてお話しします。
 まずは便のお話です。日常の中でご家族がよく経験されるのは、腸の働きが異常な状態になったときに起こる下痢でしょう。食事や水を数時間控えることで止まるような単純な下痢であれば問題ありませんが、色が黒くなったり赤くなったり、何日も続いたりするようであれば、腸の病気の可能性があります。

 次に、尿のお話です。ご家族の皆さんは普段から尿の色、回数、量をしっかり見てください。排尿をペットシーツや砂の上でする習慣があれば、色や量を見るのは、それほど難しくありません。尿の色が赤いと血尿であったり、褐色であれば肝臓の病気を疑うビリルビン尿であったりします。ビリルビンとは、赤血球中のヘモグロビンが肝臓や脾臓(ひぞう)などで壊されたときにできる胆汁色素のことです。

 尿の量や回数が増えてくることも問題です。尿の量が増えると腎臓や内分泌、性腺の病気も考えられます。回数が増える頻尿であれば、ぼうこう炎やぼうこう結石などの可能性があります。

 ご家族の皆さんはこれらの異常を少しでも感じたら、かかりつけの動物病院に早めに相談してみてください。異常を感じたときの排泄物を持参していただければ、診断の手掛かりになるでしょう。

 私たちと同じ言葉を話すことはできないけれど、何らかの形で、ペットたちも自分の健康状態を伝えています。

 そうした気持ちを忘れずに病気を早期発見することで、大切な家族とより健やかで幸せな日々を送ることができるでしょう。

 

  (産経新聞 平成29年9月8日付)