ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(47)
たくさん水を飲むと要注意 

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第47回目が掲載されました。
Team HOPE北海道地区、北光犬猫病院 院長 立花徹 がお伝えします。

人間の体重の3分の2が水分であることは、皆さんもご存じだと思います。実は、犬、猫の水分も同じ割合。例えば体重6㌔だと、4㌔分が水分ということになります。体にとっていかに水分が重要かが再認識できますね。

 しかし、過度の飲水は病気のサインかもしれないので、注意が必要です。1日の水の必要量は、体重1㌔あたり約50㍉㍑です。これはあくまでも目安です。飲水量は尿の量やのどの渇き、ホルモンや血液の状態で変わり、また、運動量、食べ物、性格などによっても違ってきます。

 普段より水の容器が空っぽになることが多くなったり、トイレシーツを交換する回数が多くなったら要注意です。実際に水を飲み過ぎるようになった場合、どんな病気の可能性があるか代表的なものをご紹介します。

 まずは糖尿病。元気も食欲もあるけど、頻繁に水を飲むようになり、痩せてきたら糖尿病を疑いましょう。猫は痩せさせると糖尿病が治ることがありますが、犬は一度発病すると一生涯インスリン注射が必要になります。原因の一つは肥満です。適正な体重維持のために食事管理をしっかりすることが大切です。

 次に腎臓病です。年を取ると多くなる病気ですが、特に老猫に多く発生します。多飲多尿から始まり、痩せる、食欲不振、嘔吐(おうと)などの症状があり、最終的には腎不全になります。完治する病気ではないので早期発見、早期治療(食事療法、薬)で進行を遅くすることが大切です。

 その他にも避妊手術をしていない雌には子宮蓄膿(ちくのう)症、老犬では副腎皮質機能亢進(こうしん)症(クッシング病)でもたくさん水を飲むようになります。様子がおかしいなと思ったら動物病院で、早めの受診をお勧めします。

  (産経新聞 平成29年8月18日付)