ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(45)
上手なシャンプー方法は?
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第45回目が掲載されました。
Team HOPE関西地区、兵庫ペット医療センター トリマー 米良匡史 がお伝えします。
トリマーが受けるお悩み相談で、意外と多いのがご家庭でのシャンプーです。ペットがシャンプー嫌いになるのは、さまざまな要因が考えられます。例えば、「飼い主がシャンプーの時だけ怖い(真剣な)顔をしている」「手の力が強く、犬が痛い思いをしている」などです。すると犬は「シャンプーは怖くて痛いもの」と学習します。
もちろん、この要因は一例にすぎず、単純に水が嫌いという犬もいます。その他にも複雑な要因が絡んでいることもあります。そこで、たいていはこれで解決する、とっておきの方法を伝授します。
「優しい言葉で語りかけ、ご褒美をあげること」です。一番使いやすいご褒美はおやつでしょうか。シャンプー中におやつを何回かに分けてあげましょう。無言でシャンプーするのではなく「お湯加減はいかが?」などの声もかけてあげてください。犬は雰囲気を読むのは上手です。犬ってとっても賢いのです。
また、家でのシャンプーは補助的なものと捉え、月に1回はトリミングサロンに行く習慣をつけましょう。スキンケアは専門的な知識が必要で、家でのシャンプーが思わぬ皮膚トラブルを起こしている可能性があるからです。「お父さん、この子がかゆがっていたのに、どうして気が付かなかったの?」と、家庭トラブルに発展する前にサロンにお越しください(笑)。
躾(しつけ)とは「身を美しくする」と書きます。それは必ずしも犬だけの話ではありません。何げないトリマーとの会話の中で、飼い主自身も知識を深めたり、情報を共有できる場となるからです。本当のトリミング、スキンケアとは、飼い主の心の内側から作用して、身を美しくしていくことなのです。
(産経新聞 平成29年7月28日付)