ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(4)
肥満は病気の引き金?
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第4回目が掲載されました。
Team HOPE代表、犬山動物総合医療センター代表 太田亟慈(じょうじ)がお伝えします。
肥満の人の割合が年々増加しています。世界的にみても、その割合はここ20年で2倍になっています。人と同じように、犬や猫なども肥満傾向が目立ってきています。
あるイギリスの報告では、肥満傾向にあるペットの割合は、1986年に24%だったのに対し、2000年には50%以上にもなっていました。
ペットに肥満の傾向が見られたら、肥満が原因で発症する病気が多いことを頭に入れておいてください。肥満傾向のペットに最も多いのは関節炎で、肥満犬の約8割が発症しています。メカニズムははっきりしていないのですが、関節に過度な重みがかかり続けてしまうことや、脂肪細胞から発生するホルモンなどが軟骨を分解してしまうためだと考えられています。そのほかにも肥満は、糖尿病や心臓疾患、泌尿器疾患などのさまざまな病気を引き起こす一因になります。
ペットが肥満かどうかを判断するためには、あばら骨や腰の部分への脂肪の付き方などをチェックするBCS(ボディー・コンディション・スコア)という基準が広く使われています。
BCSで肥満と判断されるのは、あばら骨が厚い脂肪に覆われており、触ることが困難▷腰部の脂肪も厚みがあり、骨格を触ることができない▷体形を横から見ると、腹部が張り出して垂れ下がり、腰のくびれがなくなっている―といった項目を満たしている場合です。
家族同然に暮らしているペットの健康のためにも、日々の体形チェックは欠かせません。肥満にさせないような食事や生活習慣にも、気を配ってくださいね。
(産経新聞 平成28年9月23日付)
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