ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(37)
あくびで分かるペットの気持ち
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第37回目が掲載されました。
Team HOPE関東地区 関内動物クリニック 小澤真希子 同クリニック顧問 牛草貴博 がお伝えします。
人は眠たいときにあくびをします。なぜあくびが出るのかは分かっていませんが、大きく呼吸をすることで、肺での換気を促進しているとか、顔面をストレッチするためだ、などと言われています。また、眠いわけではないのに他人のあくびが伝染してあくびが出ることもあります。
犬も眠いときにあくびをするしぐさがよくみられます。リラックスした姿勢であくびをしているときは、眠い可能性が高いです。
犬同士でもあくびは伝染しますし、人のあくびが犬に伝染することもあります。周りであくびをしている犬や人がいる場合は、単に伝染しているだけかもしれません。
もう一つ、覚えておいてほしいことは、眠気と全く異なる意味で出ることもあるということです。
犬は不安なときや緊張したとき、相手が興奮しているときなどにもよくあくびをします。このあくびはカーミングシグナルと呼ばれ、自分や相手を落ち着かせるための行動です。カーミングシグナルにはあくびのほかに、口周りをなめる、目を細める、ぶるぶると身体を震わすなどがあります。
苦手な場所に行ったとき、知らない人に抱っこされたとき、叱られているときなど、眠くなる場面ではないのにあくびをしているときは、緊張や、やめてほしい、落ち着いてほしいなどの気持ちの表れです。このようなときは、ストレスとなっているものを取り除き、犬がリラックスできるようにしてあげましょう。
特に眠いはずでもストレスを受けているわけでもないのにあくびをしているときは、身体の不調で緊張しているせいかもしれません。こんな場合は、動物病院で獣医師に相談してください。
(産経新聞 平成29年6月2日付)