ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(28)
ペットを迎えるその前に
毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第28回目が掲載されました。
Team HOPE東北地区委員、Dog&Cat Hospital GALFAR 小泉信輝がお伝えします。
初めてペットを迎え入れようとするとき、人は大きな期待と少しの不安を感じると思います。なぜならこれからずっと一緒に生活をするわけですから。
しかし、この「ずっと一緒」とはいつまででしょうか? 東京農工大農学部の調査によると、犬の平均寿命は、平成2年の調査では8.6歳だったものが、26年の調査では13.2歳と25年間で1.5倍に、猫の平均寿命は2年に5.1歳だったものが26年に11.9歳と2.3倍に伸びています。
獣医療の発展と飼育環境の改善により、家庭で飼育されている犬と猫の寿命は確実に伸び、高齢化が進んでいます。そうすると、ペットを迎え入れて終生を共に生活するのは、大きな病気がなければ10年以上となります。皆さんは10年以上ペットをかわいがってあげることができるでしょうか?
このようなことができない飼い主のもとに飼われたペットの末路は不幸です。万一、捨てられても、新たな飼い主に巡り合えたペットはラッキーですが、そんな幸運なペットはどれだけいるでしょうか? 環境省の統計資料によると、27年に犬は1万5811匹、猫は6万7091匹、計8万2902匹が保健所で殺処分されています。
殺処分数は年々減少傾向にありますが、不幸な犬猫を少しでも減らすために、ペットを迎え入れる前には終生を共にできるか、責任を持って面倒を見ることができるかを十分に検討して飼うかどうかを決めましょう。少しでも不幸なペットがいなくなれば幸いです。十分検討した後にはペットとの楽しい生活が待っています。
(産経新聞 平成29年3月24日付)