ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(21)
混合ワクチンも忘れずに!

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第21回目が掲載されました。
Team HOPE中四国地区委員、こくたいちょう動物病院院長 上田洋平がお伝えします。

 大切な家族の一員であるペット。ペットの健康を守るため、重要な予防医療の一つにワクチンの接種が挙げられます。
 犬の場合は、犬ジステンバーや犬パルボウイルスなど5~9種類の感染症を予防できる混合ワクチンがあります。狂犬病のワクチンと異なり任意接種のため、接種しないことによる法律上の問題はありませんが、予防医療の観点からは接種が有効です。

 数十年前に比べると、家庭で飼育されるペットの生活環境は格段に良くなり、15歳を超える長寿の犬や猫も珍しくなくなりました。動物医療の進歩もさることながら、飼い主の意識向上による予防医療の実践も背景にあります。

 これに伴い、ウイルス性疾患の発生率は年々減少しており、危機意識の低下から予防の必要性を疑問視するような情報が出回ることもあります。

 しかし、動物医療の現場では、ワクチンを接種していなかったために、ウイルス性疾患に感染して命を落とす動物が確実に存在します。

 ワクチン接種の対象となるのは致死率の高い感染症が多く、一度発症してしまうと救命することは非常に難しいのです。そのため、ワクチンによる予防が推奨されていることを、頭に入れておいていただければと思います。

 ペットとして飼われている動物の中では、犬、猫、フェレットがワクチン接種の対象となります。ワクチンの種類や接種時期は動物によって異なりますので、かかりつけの獣医師からしっかりと説明を受けたうえで、接種させてください。

(産経新聞 平成29年2月3日付)