ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(18)
猫も社会化

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第18回目が掲載されました。
Team HOPE中部地区委員、青山動物病院 青山幸利がお伝えします

 「社会化」という言葉をご存じですか? 犬のしつけに関するテーマではよく耳にする言葉ですが、猫についても近年、社会化が重要視されつつあります。

 社会化とは、動物が生涯で経験することに、小さいうちから慣れさせておくことです。例としては、爪切りや歯みがきなどの生活習慣、いろいろな人との触れ合い、物音やにおい、感触などが挙げられます。

 こうしたことに子猫のうちから慣れさせておくと、成長しても精神的な余裕を持った生活を送ることができます。逆に大人になってからやろうと思ってもなかなか難しいものです。人間と同じですね。

 社会化を進め、いろいろなことに慣れさせるには、猫が「楽しい、うれしい」と思えるように、飼い主が導くことが重要です。決して無理強いはせず、ゆっくりと行いましょう。

 例えば、歯みがきの習慣を付けたいという場合にはまず、「歯ブラシが気持ちのいいもの」と思ってもらうようにします。歯ブラシの感触は、猫同士が毛繕いをするときの舌の感触に似ています。そのため、子猫のうちから歯ブラシで顔の周りなどをなでるようにするといいと思います。

 猫の社会化を進めるのに適した期間は、生後3カ月頃までととても短いのが特徴です。この期間でどれだけ進められるかによって、将来の猫との生活が大きく変わってくるのです。

 動物病院に小さい頃から慣れさせておくことも、社会化の一つとしてとても大切です。健康管理を兼ねて、動物病院を受診してみるのもいいかもしれませんね。

(産経新聞 平成29年1月13日付)