ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(17)
過食、誤食に注意を

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第17回目が掲載されました。
Team HOPE代表、犬山動物総合医療センター代表 太田亟慈(じょうじ)がお伝えします。

 新年会などで家族や友人らとの集まりが増えるこの季節。動物病院に来るペットも多くなります。その原因の多くは過食や誤食。楽しいときを過ごす中、飼い主が「ちょっとだけなら」と油断して与えたおやつが、体の小さなペットにとっては大きな負担となり、体調不良を引き起こすことがあります。
 また、人には害のない食べ物でも、ペットにとっては命取りになる食べ物もあります。今回は、特に注意が必要な食べ物をご紹介します。
 まずはニラやタマネギなどのネギ類。血液中の赤血球を破壊する成分が含まれており、摂取すると重度の貧血を起こします。グラタンやハンバーグなどネギ類の入った料理は多いもの。くれぐれも与えないでください。
 また、カカオの含まれるチョコレートやココアも危険です。カカオには、脳の血管に作用して神経障害を引き起こすテオブロミンが含まれます。カフェインも同様の作用があるため、コーヒー牛乳なども危険です。
 このほかにも、飼い主が日常的に口にしているもので、ペットには適さないものは、腎不全を起こす可能性があるブドウやレーズン▷低血糖や肝臓障害につながることがあるキシリトール製品▷消化不良による下痢の恐れがある牛乳や乳製品▷食道を傷つける鶏や魚の硬い骨―などがあります。これらの食品を口にしてしまったら、すぐに動物病院を受診してください。
 すべてのペットが必ず発症するとは限りませんが、決まった食事以外は与えない方が安心です。ペットの食生活は、飼い主がきちんと管理しましょう。

(産経新聞 平成29年1月6日付)