ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(11)
動物病院へ行く前に

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第11回目が掲載されました。
Team HOPE関西地区委員長、兵庫ペット医療センター院長 有里正夫がお伝えします。

 犬も猫も、思わぬ事故や急な病気にかかる場合があります。
 そんな時、どのような応急処置をしてから動物病院に行くべきなのか、迷ってしまいますよね。大切なペットを守るため、飼い主の方に知っておいてほしい処置方法があります。
 切り傷やすり傷などによる出血の場合は、流水で傷を洗い、出血部位をタオルやハンカチで圧迫します。その上から粘着テープなどで巻いて、動物病院へ行ってください。

 玩具や布などを飲み込んだ場合、頭を低くして抱きかかえ、背中をたたくとはき出させられることがありますが、早急に獣医師による処置が必要です。

 激しいせきが出る場合、静かな場所で落ち着かせ、興奮させないようにしましょう。水や食べ物は気管に入ってしまうことがあるので、与えないでください。

 骨折や脱臼は、かなりの痛みで不安を感じるため、ペットに触れようとするとかみついてくることがあります。ケージに入れて動物病院へ行きましょう。

 激しいかゆみがあるときは、その部位をなめたりひっかいたりして、傷つけてしまうことがあります。冷たいタオルで冷やすことでかゆみは軽減されますが、原因を特定するためには受診をお勧めします。

 突然のけいれん発作の時には、犬や猫が舌をかまないようにと口に手を入れる飼い主もいらっしゃいますが、これは危険です。意識がないので指をかまれてしまいます。一般的に、けいれんは2、3分で治まる場合が多いので、抱っこはせず、頭などをぶつけないように守ってください。けいれんが治まったら、病院へ向かいましょう。
 いざというときに慌てないよう、緊急で対応してもらえる病院を調べておくと安心ですね。 

(産経新聞 平成28年11月11日付)