診療を行っていると、最近は昔に比べてフィラリア症自体は減少傾向にあると感じます。しかし残念なことに、予防を怠ったためにフィラリア症にかかってしまった犬が、毎年数十頭ほど来院します。中には、「しっかりと予防さえできていれば、命を落とさずに済んだのに…」と悔しい思いをするケースもあります。
フィラリア症は、蚊を媒介にして、フィラリアという寄生虫が犬の体内に入り込んで起こります。体内に入ったフィラリアは成長を続け、やがて長さが10~30㌢の糸状の成虫になります。たくさんの成虫が寄生すると、心臓につながる血管を塞ぎ、呼吸困難などを伴う急性症状が出て、最悪の場合、死に至ります。
恐ろしい病気ではありますが、現在では予防薬でほぼ完全に防ぐことができるようになりました。最もポピュラーなのは飲み薬で、蚊が飛び始める1カ月前から、蚊がいなくなった後の1カ月の期間、月に1回飲ませます。飲み薬を嫌がる犬のために、滴下剤や注射タイプもあります。
重要なのは、それぞれの犬に合ったタイプの薬を選んで、適切な期間継続して与えることです。かかりつけの獣医師と相談してみてください
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