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ペットの健康コラム

 ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(63)
骨を溶かす歯周病        

 

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第63回目が掲載されました。  

Team HOPE関東地区、マリーナ街の動物病院院長 早乙女真智子 がお伝えします。   

 前回のコラムで、歯ブラシによる歯磨きがペットの口腔(こうくう)ケアには有効というお話をしました。歯ブラシで磨くというと虫歯予防のように思われるかもしれませんが、犬や猫には、虫歯はほぼありません。多いのは歯周病です。3歳以上では、歯周病罹患(りかん)率がなんと、80%以上といわれています。歯周病には歯肉炎と、歯および歯を支えている組織の炎症である歯周炎の2つがあります。
 歯肉炎は、非常に多種の細菌が歯に付いた歯垢(しこう)の中で繁殖することで起きます。さらにそれが進行すると歯周炎になります。歯周病菌が、歯の下部である歯根に到達し、歯を支える歯根膜や歯槽骨に炎症を起こすのです。ここまで進行すると、かなり口臭が気になるはずです。犬や猫は、人よりも早期に歯石が形成されてしまうため、普段のケアは欠かせません。
 特に小型犬や猫は歯根と顎骨が近くにあるため、歯周病を放置して菌が繁殖すると、菌により骨が溶け、骨折を起こしやすくなります。上臼歯の歯根に膿(うみ)がたまると、「目の下が腫れました」と来院する飼い主が少なくありません。
 このような症状を外歯瘻(がいしろう)といいます。目の下の腫れだけではなく、鼻腔にも穴が開いてしまうので鼻から膿状の鼻汁が垂れてきます。
 また、歯周病菌は、心臓病を助長してしまうと言われています。人もペットも、口腔環境の改善は、全身の健康に関わりますので、より注意が必要です。
 そのために、われわれ獣医師は、定期的な健康診断や通常診察で歯磨きのアドバイスや指導を積極的に行っています。ペットの性格などに合わせた口腔ケアを諦めず続けていただければと思っています。(チームホープ、マリーナ 街の動物病院院長 早乙女真智子)

 (産経新聞 平成29年12月8日付)