ペットと暮らす獣医師からのアドバイス(30)
子犬期に気をつけること

毎週金曜日に産経新聞の生活面に掲載される、Team HOPE獣医師のリレーコラム、第30回目が掲載されました。
Team HOPE九州地区委員、動物総合病院ユニペッツ福岡 青木芳秀がお伝えします。

 子犬という言葉から連想されるのは「元気」「活発」だと思いますが、その元気な子犬が来院する一番の理由は、消化器疾患だといわれています。
 消化器疾患の原因のトップは、消化不良を起こさせるものを食べてしまうことです。私たちの家の中には、ペットが口にしてしまうと有害なものがたくさんあります。人間にとっては何ということもないものも、ペットたちが興味津々に口に入れて遊んでいるうちにのみ込んでしまったり、本気で食べてしまったり。例を挙げたらきりがないくらいです。

 こうした誤飲・誤食を防ぐには、部屋の床の掃除をしっかりとする、部屋の中のゴミ箱を荒らされないようにすることが重要です。
 外に散歩に出かけて、犬に道端の草を食べさせている飼い主さんをよく見かけますが、これも下痢・嘔吐(おうと)の原因となります。草は絶対に食べさせないでください。草に有害物が付着していたり、草の成分が動物に有害に作用することもあります。

 子犬の来院理由の2番目は事故です。転落、転倒、物の下敷きになる、ドアの開閉時に挟み込まれるなど、これもまた、たくさんのケースがあります。こうした事故は場合によっては手術になったり、最悪の場合は死亡につながっています。事故を完全に予防することは家庭内でも困難かもしれません。

 それでも、誤飲による消化器疾患と家庭内での事故は、飼い主さんがよく観察してあげれば、かなり予防できると思います。自分のペットの習性、行動パターンを知れば、予防対策もできるのではないでしょうか? まずは自分の子犬をよく観察しましょう。

(産経新聞 平成29年4月7日付)